2020年2月8日  雪降らない 里山の野生に勝負あり⭐

今年は暖冬で、夕日寺の森林(もり)も積雪はほとんどない。立春を過ぎてようやく降雪を見る。今日は少々肌寒だが雨の心配もなくこの時節ではありがたい日和だ。チームで安全点呼。編成6でスタ-ト。

<元気に出発>
・子供たちの体調、服装、持ち物などを総点検。いよいよ夕日寺奥地の探検だ。竹林降下のため背負子にザイル替りのトラロ-プなどを装備している。低学年チ-ムもいつものもたつきが少なく随分成長した感がある。ルンルンな様子でまずはコナラの広場を目指す。昨晩はけっこう冷え込んだようで、足元の落ち葉は霜でぶかぶかして心地よい。

200208 101353

200208 102051

<全員コナラの広場に到着>
・ここまではおちゃのこだが学生、スタッフは少々たじたじ。ベンチで一服するも子供らは余裕充分。フィ-ルドの状況は良好だ。標高は140Mラインで、園の散策路が集中している。いつも人気の場所だ。
付近にあまり育ちの良くない杉の集団が見られ、雄花(花粉)の状況を目視したがここでは不良。春一番のオオレンは開花まであとすこし。ニワトコの葉芽がかなり膨らんでいる。ヒヨドリの少々やかましい声が聞こえてくる。めぐりくる季節の移ろいを感ずる。

200208 102946

<竹林降下>
ここは「ゆめたね」OG永山さんの竹林で、子供たちに「体験学習の場」として提供いただいている。春には立派なタケノコが採れるのだが近年はイノシシの被害で穴ぼこだらけ、収穫はめっきり減った。
子供たちは、急な勾配に尻もちを着きながらも何とか足場を確保、トラロ-プ頼りに谷底へ降下。もう泥だらけだ。

200208 104053

200208 104223

200208 104449

200208 104803

200208 105527

<谷底に到達>
谷底へは、暖急の連続する孟宗の竹林が展開する。一段目の暖斜面には丸太の階段が数箇所取り付けられている。ここは余裕だが、その先はかなりの急勾配で体がすくむ。10Mのトラロ-プが2本掛かり、倒竹が頭上に被さる。ルートを逸れないようスタッフが誘導する。躊躇していた子供らも真剣だ。ずるずると足を取られ、体を掬われたりしながらも必死にロ-プを握る。声を掛合い、頑張れに勇気付けられて脱落者は一人もいない。ようやく底が見えてきた。対岸に鬱蒼とした暗い老齢の森林(もり)が迫る。小さな流れはかつての耕作地の水源だ。谷は柳橋川の支谷で狭く急峻な壁もある。最後の切れ込みをクリア-し全員が谷底に到達した。やったぞ・・・

200208 110000

200208 105853

<谷底探検>
三王坂往来と「やすらぎの広場」への分岐にかけて、けっこう密集した杉林がある。谷頭(やず)である。探検コ-スの沢水はここら一帯から滲み出ている。杉は植林から50~60年は経ていよう。一帯での耕作が放棄され始めた時期にほぼ重なる。
もともと夕日寺は農地に適した平地が少なく、集落の向こうのとんでもない所でも田畑の痕跡が見られる。
60年前にタイムスリップできれば、そこには明るい斜面の畑や谷の田んぼ、心地良い雑木林が広がっている。竹林は見えない・・・そんな事を思っていると一帯がサワサワ、サワサワとして山笑(やまわらい)にからかわれ 我にかえる。
ジメジメとして暗い谷間はもう人を寄せ付けない。イノシシのヌタ場や獣道、縦横無尽に覆う孟宗、ぬかるみの連続だ。かき分け、払い除け、進むとようやく谷頭の杉林が見えてきた。

200208 110446

200208 110655

200208 110708

200208 112049

200208 111017

200208 112318

200208 112923

<野生の優先>
人のくらしとかけ離れてしまったこの谷底は、まさに野生が優先している。そんなはずではない世界が広がる。
ここで見た光景が暗いぞっとするものであっても受け入れなければならない。立ちすくみ、何とかせんなんという気持が込上げてくる。そんなに大変な事でもない使命感の様なものを自分流に感じ取った。

200208 112155

200208 113423

200208 113513

<ジビエ>
夕日寺で獲れたイノシシは害獣駆除の柵にかかった。本来のジビエではないが皆(みんな)で戴こう。地元の猟友会の方のご苦労に感謝。「里山の循環」の大切さを、食という形で体験・享受できる事が嬉しい。今年は記録的な暖冬で野生には何かが起きている。あるものは圧倒的多数で子孫繁栄、あるものは「いのち」の連鎖を断ち切られるかも知れない。

200208 125419

<火おこしと網焼き>
子供たちはマッボックリの火だねとマッチで火おこし。しち厘 には真っ赤な炭火。初めてのジビエに真剣そのもの。スタッフが念入りにサポ-ト。前日に仕込んでおいた「ムネ」「モモ」のお肉。味付けは「塩麹」「塩コショウ」「焼肉のたれ」と食べ比べ。どれも美味しいと大好評。ムネの塩麹が一番人気であった。ジビエ美味しい なにか安堵した。

200208 130339

200208 130347

200208 131612

200208 131937

200208 132550a

200208 133432a

200208 134023

200208 134418

200208 135558

<イノシシのこと>
県下のイノシシは大正末期から昭和初期(1925)にかけて滅んだと見られている。(能登地方は数年遅れての絶滅)。
ところが昭和36年(1961)12月、白山麓で雄二頭が捕獲される。昭和48年(1973)6月現在、繁殖はまだしていないとの報告がなされた(白山学術調査団動物班)・・・2016年度末の生息個体数は約19000頭。
<県対策5ヶ年計画> 野生鳥獣の保護・管理(イノシシ):2021年度末まで毎年9000頭以上を捕獲し、個体数15000頭以下をめざす。かつて「シシ穴」に落ち、銃弾を受け滅びをたどった県内のイノシシ。「人の身勝手な報い」が今、押し寄せているのかもしれない。

(文:アッキ- 写真:スタッフ一同)

2020年2月8日

ゆめたねロゴ太.png

ゆめのたねホームページはこちら
プログラムの紹介や募集をおこなっています